Tempnotes

北米在住。趣味や生活のことなど、気まぐれに書きます。

Gemini PDA雑感

先日、幸いにもセカンドロットにあたって手元にやってきたGemini PDA(USキーボード/4G版)。すでに多数の感想やレビューが公開されているので今更感はあるけれど、個人的に感じたことを参考までにいくつか。

ハードウェア

初回出荷時の問題(とくにキーボード周り)を読んだときは多少不安だったのだが、いざ現物を手に取ってみると、予想以上にきちんとしたモノに仕上がっているという第一印象。金属板を用いたデザインは外見もスマートだし、素材の特性もヒンジ部で効果的に用いているという点で、実用性も兼ね備えている。機能面では不満がないわけでもないけれど、最低限抑えていていてほしいところはきちんと抑えており、大変満足度は高いです。

キーボードとボディ

ほとんどの人がキーボード目当てでバックしたであろうこの製品。しっかりとしたキータッチもあり、初期ロットで報告されていたような各種問題もいまのところ自分の個体では見あたらない。ただ、スペースとエンターキーだけは、雑に斜めから押そうとするとたまに引っかかるようなかたい抵抗感がある。入力自体はきちんとできます。

キータッチは、ゴムパッドを押しこむ仕組みということで、最近よくある底面にあたるような打鍵感とは異なる押し心地。(往年のNewton keyboardのような、ぽこぽこと押しこむようなちょっと懐かしいストローク感というか...。)数日使ってみて、ブラインドタッチにも大分慣れてきた。一部のキーが変則的な配置でたまに確認することもあるが、これも使い続ければそれなりに大丈夫かなと個人的には思っている。

ボディはちいさいながらも開いたときの一体感があり、ディスプレイにタッチして操作するときも気になるほど振動はしない。これは開いたときに支点にもなる背面の金属ヒンジ機構がミソらしく、適度な傾斜で本体を持ち上げるだけでなく、板バネの要領でテンションをたもつことでディスプレイ部との角度を固定できるようだ。膝の上でも問題なく使えています。 ちなみにこういった仕組みなのでヒンジはひとつの角度でしか固定できないのだけど、そのまま持ち上げて手持ちしながら両手でタイピングすることもできる。ソファやベッドで寝ころびながら文章を打ったり、ポートレート持ちで本を読んだりもできます。

ディスプレイ

予想外だったのが、想像していたよりもきちんとしたディスプレイが搭載されていた点。これなら十分長時間の作業にも使えるし、文字もきれいに表示されるので俄然書く気になる。(これ大切。実際この文章を書く気になったわけで...。)たしかに画面の評価に使うようなグラデーションのある画像をみれば多少のバンディングが見えなくはないとはいえ、普段使いで気になるレベルではない。 ちなみに自分の個体の場合、ディスプレイ保護のガラスフィルムを貼ったところ本体が閉まりにくくなったため、現在はフィルムをはがして使ってみている。閉めた際にディスプレイ部とキーボード部との隙間がないようなので、もしかすると、キーが当たった部分のディスプレイのコーティングがはがれてきてしまうかもしれない。

バッテリー

バッテリーの持ちは大変良い。様々なアプリをインストールしてみたりとなにかと弄っていた最初の数日でさえ、きちんと一日持つ安心感。これなら東海岸から日本まで充電しなくてもフライト中ずっと使えるなあ...ということで、次の旅行に活躍しそう。

サウンドとカメラ

言うまでもないが、このあたりはホント必要最低限。カメラはSkype程度であれば、という印象。ただ、たとえ画質が悪くともカメラがあるおかげでログイン時の顔認証がつかえるため、実用上はとても便利。(別売りのカメラモジュールは購入していないのでわかりません。)(7/15追記:最新のファームウェアでは、なぜかこの顔認証が無効になってしまった。バグなのか意図的な変更なのかはわからない。)

イヤホン出力はノイズが乗るので、あまり使う気にはならない。本当はもう少しスピーカーがよいと音楽再生や動画視聴にも本格的に使えるかなと思ってはいたのだけど、ここは次回に期待だろうか。(ラジオ代わりに軽く音楽やポッドキャストを流すような用途では十分使えている。)ただ、こういった機能はiPhoneなりほかのスマホでやればいいわけであって、ここを追い求めないところはむしろ潔くて良いと個人的には思っている。

ソフトウェア

久しぶりのAndroid端末(前に使ったのは初代のmoto x)ということで、ほかのAndroidスマホとの比較はできない。ただ、本当にAndroidもきびきび動くようになったなあ、とずいぶん感心しきりで...。

GeminiにのっているのはほぼバニラのAndroidで、そのうえにいくつか独自のアプリがプリインストールされているという仕様。現時点でも開発中らしく、プリインストールされていないものもあるし、インストールされているもののなかでも、LEDison(LEDインジケータの設定アプリ)など、まだ完全には動かないものがある。eSIMにも対応しているので電波強度のインジケーターも2つ表示(物理SIMが刺さっているのでひとつだけ動いている)されているのだが、この設定アプリ?も自分の環境ではまだ動かなかった。

App Bar

ソフト面でウリのひとつといえるのが,ディスプレイ下部から呼び出せるApp Bar。役割はいわゆるDockで、 Planet(Alt)キーを押すことで、にゅっと画面の下から出てきてアプリが開ける。スプリットビューのときにも、これを使って片方のアプリを切り替えたりできるので、大変使い勝手はよい。(が、呼び出したアプリが左右どちらに表示されるのかのルールが、いまだに謎。)

ショートカット

キーボードのショートカットが充実しているのも特長のひとつ。Fn+Dでホーム画面、Alt+Tabでタスク切り替えなど、なかなか親しみやすい操作体系になっている。 本当はすべての操作をキーボードだけで完結することができるのが理想なんだけれど、アプリ側で完全にはキーボードに対応していないものもあり、そこは試行錯誤が必要。 キーボード操作ができるソフトを探したなかで、いまのところメインのメーラーとして落ち着いているのがAquaMail Pro。これを2 Panel UI(いわゆるタブレットモード)で使っている。ブラウザはChrome(でもBraveでも)ほとんどキーボードで操作が可能(Alt + 矢印で戻る、進む、上下移動など)。コピー&ペーストといった操作については、これに限らずほぼどのアプリでも問題なくキーボードで行えている。たとえば右に1Password、左にログインしたいアプリを表示して、パスワードをコピーするといったことも可能。テキストエディターはMac/iOSでも使っているという慣れの問題で、iA Writerを入れてみた。ただ、2バイト文字依存のバグなのか、このアプリ、たまに一部で文字化けを起こすようで、乗り換えを検討中。 テキストエディターはホーム画面の一番左上にアイコンをおいておけば、スペースバー一回押しでさっと起動して書き始められるところが心地よい。ログインの認証も加えて都合2回押せば作業に入れる。 Macと操作が一貫しているということで、日本語IMEについてはATOK(Planet(Alt)+spaceで日英切り換え)を利用中。ちなみに購読版でない切り売り版ののATOKは米国のPlay Storeからは買えなかったのだが、Amazon App Storeからであれば米ドルで購入できます。

その他仕事用アプリ(自分の場合)

これはGeminiに限った話ではないけれど、WordやExcel、Evernoteといった定番をはじめ、たとえばTeXであればVerbtex、OctaveやGNUplotもGNUroot Debian経由でインストールすることで、Android上でミニマムな仕事環境(原稿書き/軽い計算&グラフ作成)が実現できた。むかし、iPadで仕事環境が完結するかいろいろ試行錯誤してみたことがあったけれど、それよりもGeminiの方が文章を書くという点では筋がいい。やはり内蔵キーボードがあることで上がる生産性は無視できないし、アプリを自由にいろいろ入れられるAndroidはこの辺りはやはり便利。マウスもつなげればほぼPC/Macのように使える。LinuxとのDual boot環境も構築できるけれど、そのあたりは落ち着くまでもう少し様子見しようと思っている。

まとめ

ほとんどの人にとっては必要性が感じられないデバイス(実際に自分も、「せっかく携帯からキーボードが要らなくなったのにどうしてまた?」という質問をされた)ではあるが、本格的なキーボードがついたモバイルデバイスを求めていた人にとっては、このサイズでこの使い勝手というのは今現在で唯一無二ともいえる存在ではないだろうか。じつはAndroid携帯の未来はこういうPDA的なエッジの効いた製品にこそあるのではないかという妄想もできたりして、きわめて実用的でありながらも久しぶりにいじるのが楽しいガジェットです。